近すぎ飛行機と2人の少女たち
伊丹空港の飛行機スポット
千里川土手
知る人ぞ知る、飛行機ファンにはたまらない撮影スポットとして長年愛されている
目的地へ向かう道中でも、旅路を終えた飛行機たちが低空を飛び交う光景を何度も目撃し
その度に高まる期待
現地では、社会人のカップルや国籍不詳の男性2人組、定年して10年ほど経ったと見られる夫婦が皆、キラキラと少年のような表情を浮かべて飛行機が来るのを今か今かと待っている
遠方の空にキラリと光るものを見つけると
そこにいるすべての人々が
その一点をじっと見つめる
その形状が認識できるくらいに近づいたと同時に
風の音に混じって、どこか堂々としたノイズが聞こえだす
その音が次第に大きくなり
気づけば、半ば恐怖を覚えるくらいの距離に近づく物体
目をつむりたくなるほどの視覚的迫力と、それに伴う地響きのような音
ああ死ぬ時ってこんな感じかなと思えるくらいの
自分が終わりそうな感覚
通り過ぎるのは一瞬なのに、余韻はしばらく続く
乗るよりも飛行機を感じられる体験かもしれない
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そんな最中、5歳と2歳の姉妹は
あまりの迫力に笑顔が消えていた
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著者 扇芝淳美